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導入事例・インタビュー

妊婦と胎児の安全を守る電磁界解析シミュレーションXFdtd

●プロフィール
千葉大学 フロンティアメディカル工学研究開発センター
准教授 博士(工学) 齊藤 一幸氏

千葉大学のご紹介


千葉大学は、複数の旧制国立諸学校を包括して1949年に誕生。旧六医科大学のひとつである千葉医科大学の流れをくむ医学部や、戦前から工業デザインに取り組んだ東京高等工芸学校を母体とする工学部を有するなど、長い歴史と高い水準を兼ね備えた総合国立大学だ。2005年の法人化に際して、「つねに、より高きものをめざして」という大学理念を制定。約1万人の学生とともに、普遍的な教養や専門的な知識を兼ね備えた人材育成と、研究活動を通した社会貢献などに努めている。

齊藤先生のご紹介

今回お話を伺ったのは、同大学の准教授でフロンティアメディカル工学研究開発センターに所属する齊藤一幸博士。これまでに、がんの温熱治療やMRIといった「マイクロ波の医療応用」や、擬似的な人体モデルである「人体電磁ファントムの開発」をテーマにした研究で、自身が工学と医学の懸け橋となっている。


XFdtdで解析した携帯電話による
妊婦での電磁波エネルギー吸収量分布

XFdtdは、米Remcom社が1994年に開発した世界初のFDTD法商用ソルバーで、日本では構造計画研究所が技術サポートも行っている。早い時期から電磁界の解析と相性がいいGPUコンピューティングに対応した上で、大規模計算では何かとネックになるメモリーの使用量についても、長年の研究による効率化を実現している。一例としては、メモリーの使用量を30%程度減少させ、計算時間も半分程度に改善した実験例もある。大規模計算の処理能力やスピード感が求められる齊藤先生の研究を、XFdtdとGPUコンピューティングはどうサポートしているのか。齊藤先生に、その印象や手応えなどを語ってもらった。

フランスとの共同研究をきっかけに、「XFdtd」とGPUによる解析をスタート

XFdtdとGPUコンピューティングを始めたきっかけは?

XFdtdとNVIDIA Tesla GPUを5枚搭載のマシンを導入したのは、科学技術振興機構(JST)の『戦略的国際科学技術協力推進事業(共同研究型)「日本-フランス共同研究」』に採択されたことがきっかけです。この事業は、JSTとフランス国立研究機構(ANR)の双方が、同じ課題を共同で研究するプロジェクト。2009年に課題の公募が始まり、翌年の2010年に30件の応募の中から4件が選ばれました。その4件のひとつに、私がかかわっている「電波曝露の管理手法の適正化を目指す『新しい無線システムの使用形態で生じる電波への妊娠女性・胎児の曝露評価モデルの開発』」が選ばれたわけです。これにより研究費の確保が可能となり、大規模計算に必要な環境が整えられたという流れになります。なお、この課題には複数の機関がかかわっており、日本側の各機関の取りまとめは情報通信研究機構が担っています。

研究内容を詳しく教えてください。

簡単に説明すると、「デジタル端末が発する電磁波が、妊婦や胎児にどのような影響を及ぼすか」を調べる研究です。ご存じのとおり、携帯電話の電磁波による影響は昔からいろいろなところで研究されていますが、ことさらに「危険だ」という結果は出てきていません。今回の研究では電磁波による温度上昇を調べていますが、一般のユーザーが利用する携帯電話程度であれば「ほとんど温度上昇はみられない」というのが一般的な見解です。

実際にXFdtdとTeslaを用いて、どのような解析を行っているのでしょうか?

今回の研究では、解析用の妊娠女性のモデルに携帯電話やタブレット端末などの無線機モデルを近づけ、そこから出た電波が「身体にどれだけ吸収されるか」を解析し、その結果から温度上昇を確認します。この解析に利用するのがFDTD法であり、FDTD法を採用した汎用解析ソフトウェアがXFdtdになります。

FDTD法は、解析する領域を立方体の「単位セル」と呼ばれる細かいブロックで分割し、そこからさらに複雑な計算を行います。そのため、解析処理にはそれなりに高性能なパソコンが必要になりますが、その点を差し引いても他の手法より効率的に計算できるのが魅力です。また、GPUコンピューティングとの相性も良いことから、必要となるマシンパワーをGPUが補えるというメリットもあります。

FDTD法の大規模解析に、高速化に向けたGPUコンピューティングは不可欠

XFdtdでは、どの程度の大規模計算を行っているのでしょうか?

FDTD法では、単位セルの一辺の幅を1/10にすると、計算量は単純に1000倍になります。つまり、細かくすればするほど計算量は増え、時間も当然かかってしまうわけです。しかし、例えばとても薄い携帯電話であれば、アンテナには薄い銅箔が使われているため、一辺の幅が1㎜や2㎜の解像度での解析では話になりません。そのような最新のデジタル機器の解析を行うためには、0.1mm程度の解像度で解析を行なう必要があり、必然的に大規模な計算になります。現状でも10時間程度かかる計算を行なっており、今後はさらに解像度の高い解析を行うために1日がかりの計算も出てくるのではないかと考えています。その点を踏まえれば、GPUは必要不可欠となるでしょう。

また、スピード面だけでなく、手元にあるパソコンで計算結果がすぐに得られる快適さは、何物にも代えがたい利点です。もちろん、このような大規模計算は、学内のスーパーコンピューターの複数のノードを利用して行う事もできます。しかし、スーパーコンピューターは非常に混雑しており、ジョブを投入してから実際に計算して結果を得るまでには1週間以上待たされる場合もあります。そういった状況があるだけに、自分の研究室ですぐに計算できる利点は非常に大きいです。

導入された製品

多様な電磁波問題をシミュレーションするための強力なソリューションを提供する3次元電磁界解析ソフトウェアです。

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