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導入事例・インタビュー

ワイヤレス通信を高品質で届けるために。Wireless InSiteによる電波の見える化。

●プロフィール
NTTコミュニケーションズ株式会社 先端IPアーキテクチャセンタ
東 賢二氏、水鳥 康夫氏、梅地 俊成氏、渡邉 正俊氏 (写真左から)


次々と新サービスが提供されるワイヤレス通信事業で一歩先を行くNTTコミュニケーションズ株式会社では、不安定なワイヤレス通信を高品質で届けるために電波の見える化に取り組んでいる。シミュレーションソフトとしてWireless InSiteを選択した理由を伺った。

NTTコミュニケーションズ株式会社について

本社所在地 東京都千代田区
ホームページ http://www.ntt.com

先端IPアーキテクチャセンタの取り組み:混雑する電波の難しさ

NTTコミュニケーションズ株式会社と先端IPアーキテクチャセンタの業務について教えてください。

NTTコミュニケーションズは、ICTによって豊かな社会と安心で快適な生活の実現に貢献することをミッションとしている会社です。グローバルICTパートナーをキーワードに、革新的で信頼性の高いシームレスなICTサービスを国内外に提供しています。

個人向けでは、OCNに代表されるインターネット接続サービス、コンテンツサービス、長距離電話サービスを提供し、最近ではスマートフォン用アプリケーションの制作も行っています。 法人向けでは、同じく長距離電話サービスの他にセキュリティとセットにしたインターネット接続サービスやクラウド上のサービスの提供、データセンタの提供サービスを行っています。

その中で我々の先端IPアーキテクチャセンタは、開発センタ的な位置づけで、3つのキーワード「イノベーション(新技術開発)」「インキュベーション(開発した新技術の事業化支援)」「エデュケーション(新技術を社内に展開していく人材の育成)」を柱に展開している組織です。 展開の対象は基本的にNTTコミュニケーションズ内ですが、NTTグループ会社に提案することもあります。

当センタはユニット制をとっているのですが、我々のユニットのキーワードは、「身近なワイヤレス通信の効率的運用技術の提供」です。私達は日頃なにげなく無線機器を使用していますが、電波伝搬は実は非常に不安定なものなんです。つながらない、つながっても音がおかしいということが多々ありますので、「高品質」に「高機能」に、「どこでもつながる」運用方法を追及しています。特に最近はスマートフォンの台数が急激に増えましたので、そのように不安定なワイヤレス通信を高品質で活用する方法を社内に展開しています。

弊社はMVNO事業者(※1)です。以前は有線で提供していた通信のほとんどが、昨今では無線機器での通信になっています。個人で使用される分には、例えば地下ではつながらなくてもまだ受け入れていただけたのですが、ビジネス利用が広がってくるとつながらないことが問題になります。それに加えて、ここ1、2年のモバイル端末の普及により電波が混雑し、高品質での通信がますます難しくなってきました。

さらに、最近は人間ではなく「モノの通信」(※2)も増えていて、センサー情報や電気・ガスの検針を無線通信化することなども検討されています。その他、新しい周波数帯の使用検討依頼など、我々も益々忙しくなってきました。


※1 MVNO事業者
仮想移動体通信事業者(かそういどうたいつうしんじぎょうしゃ、Mobile Virtual Network Operator)とは、携帯電話やPHSなどの物理的な移動体回線網を自社で保有せず、他の事業者から借りて、自社ブランドで通信サービスを行う事業者。
※2 モノの通信
機器同士がM2M(Machine to Machine)通信で直接データをやりとりする「モノのインターネット(IoT:Internet of Things)」のこと。

Wireless InSiteをどのように使っているか

Wireless InSiteをどのようにお使いでしょうか


「お客様が弊社サービスを高い品質でお使い
いただけるよう、調査・研究しています」
水鳥 康夫氏

大きく3つの用途に活用しています。

1.エリア内の電波伝搬


調査研究案件を請け負った際にはエリア内にどのくらいの電波が飛ぶかについてWireless InSiteであらかじめシミュレーションし、測定する範囲の目安をつけます。また、お客様がワイヤレス通信ネットワークを構成する際、最適な設備配置となるようにWireless InSiteで検討します。

2.新サービス導入時の性能検証


通常、通信機器・通信設備のパンフレットには見通しの良い環境での性能を記載していますが、実際の現場はビルの谷間など複雑な環境にあることが多く、パンフレットの性能通りにはなりません。そういったケースをシミュレーションし、届くエリアを検証します。

最終的には実測をもって電波伝搬状態を確認しますが、実測をどのくらいの範囲で行えばよいかを事前に見積っておくことは、業務効率の上で非常に重要です。 また、最近導入が進んでいる「モノの通信」の、電波が届く/届かないのシミュレーションにも活用しています。

3.社内技術教育


技術的問合せに対応する一方で、社内スタッフの技術的育成も大切です。弊社では入社数年目の社員を対象に1ユニットあたり10日間の連続講義を行うのですが、我々のユニットではワイヤレス通信の技術的背景や、通信にかかわる法律面、通信の活用方法などを教育します。

"電波は遮蔽物があるから届かない、反射があるから届いている、周波数が高いから減衰が大きい"といった一般的な理解でとどめるのではなく、通信サービスを提供するプロとして、定量的に理解し、電波の振る舞いをイメージできるようにWireless InSiteを活用したいと考えています。

シミュレーションと実測値の差異はいかがでしょうか

差はもちろんあります。しかし、どれだけ精密にシミュレーションしても実測値と異なるのは当然だと思っています。 電波伝搬路は、さまざまな条件で絶えず変化していると共に、最近のワイヤレス通信はモバイル端末側が移動するため、その電波伝搬上の変動は著しいものがあります。

シミュレーションは理論的に整然と計算したものであり真実ですから、まずはこれを指標とし、その後、実測データとシミュレーションの差分を見る流れをとっています。どんなにパラメータを精密に設定したところで、シミュレーションと実測値の差がでるのは避けられないことであり、これはソフトウェアの良し悪しとは関係ないことだと考えていますから。

Wireless InSite選定の理由:あらゆる通信方式に対応できる点を評価

Wireless InSiteはどのように知りましたか

実は、Wireless InSiteを知ったのは数年前、まだ事業部にいた頃に構造計画研究所(以下構造計画)の営業の方に紹介いただいた時でした。その後、なかなか購入には至らないまま時間が過ぎていったのですが、その間も定期的に訪問して下さり、またKKE Vision(※3)へのご招待もいただきました。KKE Visionは毎年のテーマがしっかりしていて、我々が関係する分野でも、研究性の高いものや他分野からの通信に対する取り組み等、技術動向を把握する上で、非常に良い機会です。

※3 KKE Vision 産業界と学術界をブリッジする企業を目指し、多種多様な分野におけるエンジニアリング技術を提供する構造計画のプライベートイベント。最新の研究成果の共有やソリューション事例の紹介、及びお客様と学術関係者の皆様の交流を目指して毎年開催される。

その後、2011年に現在の社内全体を見渡せる開発センタに異動してきたのですが、世の中のワイヤレス通信を取り巻く環境や社内から来る相談案件から、問題点や対処しなければならないことが見えてきて、これらを解決するためのなにか良いソフトがないか、検討をはじめました。

Wireless InSiteを選んだ決め手を教えて下さい

「計算の速さ」と「どんな通信方式にも対応できる点」が決め手になりました。


「Wireless InSiteは
方式にこだわらない点がいいですね」
渡邉 正俊氏

無線LANに限定したものであればいろいろな製品がありましたが、方式や周波数帯によらず電波伝搬の状態を見られるソフトを必要としていましたので、その時点でWireless InSiteが有力な候補としてあがりました。
構造計画では、ネットワーク・電波伝搬ソリューションを数多く扱っており、購入前に比較デモ等でそれぞれの説明を念入りに受けました。比較した他のソフトは、屋外の広域エリア向けのものや、研究用の緻密な計算を行うものでしたので、これらは除外しました。


私共の業務には「どのような条件であれば、求める品質が得られるのか」を検証するケースが多く、パラメータを頻繁に変更してシミュレーションを繰り返す必要があります。ですので、長時間かけて高精度な結果を得るよりも、短時間で早く結果を出すことの方が重要です。加えて、モバイル端末は移動しながら使用するものであり、その都度条件が変わりますので、一つ一つのシミュレーションを細かく設定・計算するよりも、少ない作業で早く目安が得られることが重要です。これらのことから、
Wireless InSiteを選択しました。


多種多様な電波伝搬
(モノの通信・人の通信)


















Wireless InSiteの評価:ビジュアルな結果表示は報告書の質を上げる

1年間お使いになってみての評価はいかがでしょうか


マニュアル(手前)を見ながらの操作指導

Wireless InSiteで得た結果を報告書に使うと、視覚的に理解しやすい資料ができるので大満足です。人に見せたときに「おーッ!」と言ってもらえます。我々は常々「電波の見える化」を意識していますので、電波の状況をビジュアルで説明できるのは心強いです。

また、方式に依存しないシミュレータであるということも良い効果を生んでいます。私たちがこれまで扱った事のない周波数帯の検討もできますから。

処理速度の速さ、使いやすさ、報告書にしやすいこと等、機能に対してのコストパフォーマンスを非常に高く評価しています。 また、簡易的な計算が行える一方で、設定しようとすればかなり細かいレベルまでできるソフトでもあるので、今後はさらに活用するシーンが多くなりそうです。

Wireless InSiteの新用途:低コストで子どもやお年寄りを見守る

今後どのような使い方を検討されていますか

これはモノの通信の例になりますが、弊社では現在、「子どもやお年寄りの見守り」として、お子さんやお年寄りが今どの辺にいるか、安全な状態か、を簡単に捕捉するサービスの検討をしています。 現行でも携帯電話のGPSを使用して提供されているサービスや、2.4GHz帯の無線方式で提供しているサービスがありますが、 携帯電話では料金が高くなりますし、2.4GHz帯はエリアを広くできず、電波の不感地帯も多くなることがネックでした。これらの問題を解消するため、昨年から使用可能になった920MHz帯を使用したサービスにできるよう、地形データや建物データを入れてシミュレーションを行っているところです。

通信方法にはたくさんの選択肢があります。 例えば東京から九州に移動するのに、新幹線を使ってもいいし、飛行機やトラック、自家用車など、用途に応じて我々が選択を行うように、無線による通信にも適材適所があります。 たくさんのものを乗せたいならトラック、早く着きたいのであれば飛行機とか、それと同じなんです。ところが現行の無線通信では、高速道路をセスナ機で走るとか、スポーツカーで引越しをするというような、我々からするともったいない使い方をしているケースがあります。 このように、それぞれの状況にふさわしい通信手段を見極めて、効率良く高い品質のサービスを提供することが我々の仕事です。




Wireless InSiteを用いて計算したビル群の中での電波伝搬。構造物に反射する様子が見て取れる。
色は電波の強度を表す。













構造計画への評価と今後の期待

構造計画の印象をお聞かせ下さい

構造計画は技術的サポートが強いという印象があります。 Wireless InSiteを使いはじめるにあたって講習会を受けましたが、その際いくつか専門的な内容のことを質問した時も、的確に返答していただきました。スタッフの方々は博士号をお持ちで、技術的に深く理解されており、信頼感が深まりました。

Wireless InSiteは、今後ますます増えることが予測される920MHz帯のセンサー用製品など、モノの通信用途の解析にも役立っていくと考えていますし、もっと複雑なことにも使用していきたいので、今後ともご支援をよろしくお願いします。

(取材日:2013年3月)

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