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解析事例

5G固定無線アクセス(5G FWA)の電波伝搬評価

背景と目的

背景

  • 固定無線アクセス(FWA:Fixed Wireless Access)は、5Gの早期展開のための主要なユースケースの1つであり、 家庭や企業のラストワンマイルに無線ブロードバンドを提供することを目的としている。
  • 5G FWAではミリ波帯を用いた無線通信を行い、MIMOビームフォーミングや高密度化などの技術が利用される。

目的

  • 基地局とユーザー宅内装置(CPE:Customer Premises Equipment)の設計と配置は5G FWAを機能させるために重要である。
  • 電波伝搬シミュレーションによって5G FWAの基地局・CPE間の電波伝搬評価を行った。


使用する解析ソフト

  • 3次元電波伝搬シミュレータ Wireless InSite を用いたレイトレース法による解析を行う。


解析条件

  • 解析モデルは図1に示す郊外の住宅街である。表1に材質設定を示す。
  • 基地局(送信機)は電柱の上(高さ12m)または街灯の上(高さ6m)に配置する(図1の赤丸)。
  • CPE(受信機)はに図3に示すように屋上と屋内(窓際)に配置する。

WI5GFWA_解析モデル
図1:解析モデル(郊外の住宅街)
WI5GFWA_基地局アンテナ
図2:基地局アンテナ

WI5GFWA_受信機の位置
図3:受信機の位置
表1:材質設定
オブジェクト 材質
壁:煉瓦、窓:ガラス、ドア:木、ガレージのドア:金属、屋根:アスファルト
道路 アスファルト、コンクリート
植物

  • 送信機にはMassive MIMOアンテナを用いる。
    • 周波数:28GHz(帯域幅100MHz)
    • 構成:両偏波を持つ8×8のパッチアレイ(合計128素子)
    • 送信電力:37dBm
    • ビームフォーミング手法:最大比送信(MRT)
       ⇒ 対象ユーザに到達する電力を最大になるように、ビームフォーミングの送信側の重みを設定する。
  • 受信機にはMIMOアンテナを用いる。
    • 構成:両偏波を持つ無指向性アンテナ(合計2素子)
    • ビームステアリングからの利得:18dBi(屋上)、12dBi(屋内)
    • ビームフォーミング手法:最大比合成(MRC)
       ⇒ 合計受信電力が最大になるように、ビームフォーミングの受信側の重みを設定する。

WI5GFWA_ビームフォーミング手法
図4:ビームフォーミング手法

解析結果

  • MIMOビームフォーミングの効果を確認するためSISOの結果と比較する。
  • SISOでは基地局、CPEともにダイポールアンテナを使用する。


SINRの比較

  • SISOとMIMOでSINR(Signal-to-Interference-pluse-Noise Ratio)を比較する。
  • ビームフォーミングを行っているためダウンリンクでは他の基地局からの干渉は無視できると仮定する。
  • ノイズについて、周囲雑音レベルを-168dBm/Hz、受信機の雑音指数を5dBとする。

  • 図5にSISOとMIMOの基地局からの距離に対するSINRを示す。 電柱上の基地局(高さ12m)・屋上のCPE間と、街灯上の基地局(高さ6m)・屋内のCPE間のSINRである。
  • MIMOは、SISOよりSINRが30~40dBよくなる。

WI5GFWA_基地局からの距離に対するSINR
図5:基地局からの距離に対するSINR

  • 図6にSISOとMIMOのSINRのエリアマップを示す。
  • MIMOでは、全体的にSISOよりSINRが高くなるのでカバレッジが広くなる。

WI5GFWA_SINRのエリアマップ
図6:SINRのエリアマップ

スループットの比較

  • 3GPP TS 38.306に基づき5G NRのピークスループットを簡易的に計算し、SISOとMIMOで比較する。
  • TDD(Time-Division-Duplexing)を考慮するためピークスループットの値を70%まで縮小する。

  • 図7にSISOとMIMOの基地局からの距離に対するスループットを示す。 電柱上の基地局(高さ12m)・屋上のCPE間と、街灯上の基地局(高さ6m)・屋内のCPE間のスループットである。
  • MIMOでは、基地局から遠い場所でもスループットは80Mbps以上になる。

WI5GFWA_基地局からの距離に対するスループット
図7:基地局からの距離に対するスループット


まとめ

  • 電波伝搬シミュレーションによって5G FWAの基地局・CPE間の電波伝搬評価を行った。
  • 5G FWAで利用されるMIMOビームフォーミング技術によりSISOに比べてSINRやスループットが改善されることが分かった。
  • 本稿はRemcom社のWebサイトにある論文( Using Modeling and Simulation to Assess Challenges and Solutions for 5G Fixed Wireless Access )をもとに作成した。

  • 電波伝搬シミュレーションには、3次元電波伝搬シミュレータ Wireless InSite を用いた。
    WI


参考文献

  • [1] Effects of building materials and structures on radiowave propagation above about 100 MHz, ITU-R p.2040-1, July 2015.
  • [2] Study on 3D channel model for LTE, 3GPP, TR 36.873 (V12.2.0), July 2015.
  • [3] Weissberger, Mark A., An Initial Critical Summary of Models for Predicting the Attenuation of Radio Waves by Trees, Final Report, ESD-TR-81-101, EMC Analysis Center, August 1982.
  • [4] User Equipment (UE) radio access capabilities (Release 15), 3GPP TS 38.306 V15.2.0 (2018-06).

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