リリース情報
RapLab v10.0の新機能
RapLab v10.0を2021年5月に発売しました。
- 設定できる周波数の上限を999GHzまで拡張
- パス表示機能の改修
RapLab v9.1の新機能
- 64bitアプリケーション化
- 各種機能の向上
- 2.5次元レイトレース計算機能
- 最大受信レベル・合計受信レベル・CI比の計算・表示機能
- 数値地図10mメッシュ対応
- 測量成果2000に基づく測地系変換に対応
64bitアプリケーション化
64bit Windowsアプリケーションになりました。これに伴い32bit Windows OSには非対応となります。
各種機能の向上
- グラフ表示機能の改修
- GUI上でのグラフの編集が容易になり、表示も見やすくなりました。
- 計算モデルの読込/保存/破棄処理の高速化
- Tempフォルダへのコピーをなるべく減らすことで計算モデルの読込/保存/破棄処理の高速化を行いました。
- Shapeファイル読み込み機能の強化
- Shapeファイル読み込み時の投影法でJGD2011に対応しました。 Shapeファイル読み込み時の種別としてPolygonZに対応しました。
- コンソール実行機能の強化
- コンソールからRapLabを実行する際に計算条件ファイル(CalcCond.txt)とポイントデータファイルを引数で入力できるようになりました。
- MIMO計算機能のC++化
-
MIMO計算機能の固有値とチャネル容量の計算ではMATLABを利用していましたが、その計算処理をMATLABからC++に移行しました。
これに伴いチャネル容量、固有値計算のカスタマイズ機能を削除しました。
MIMO計算機能はProの機能となります。 - 連続配置機能におけるTxの初期位相自動入力機能
-
連続配置機能において複数のTxに等間隔の位相差を加えることが可能となりました。
連続配置機能はAdvenced以上の機能となります。
2.5次元レイトレース計算機能
2.5次元レイトレース計算機能を追加しました。 2.5次元レイトレースとは、3次元レイトレースで探索しているすべての経路は計算せずに、特定の経路探索のみを行う手法です。簡易的な手法ですが、高速なレイトレース計算が可能となります。
最大受信レベル・合計受信レベル・CI比の計算・表示機能
最大受信レベル・合計受信レベル・CI比の値の計算・表示が可能になりました。
- 最大受信レベル:全てのTxからの受信レベルの最大値を計算・表示
- 合計受信レベル:全てのTxからの受信レベルの合計値を計算・表示
- CI比:各TxのCI比(搬送波対干渉波比)を計算・表示
数値地図10mメッシュ対応
国土地理院の数値地図10mメッシュ(標高)の標高データを読み込みが可能となりました。ただし、RapLabでは50mメッシュに変換して利用します。
地形データ作成ツールにおいて、国土地理院の数値地図10mメッシュ(標高)データより地形モデルを作成することが可能となりました。
測量成果2000に基づく測地系変換に対応
株式会社ゼンリン社が提供する地図データ(Zmap-TOWNⅡ、Zmap-AREAⅡ)は日本測地系を基準にしており、建物データ変換ツールでは変換過程において、測地系を世界測地系へ変換しております。これまで世界測地系変換において座標系の変換のみを行っていましたが、今回、測量成果2000に基づく世界測地系へ変換するようにロジックを変更しました。
※日本測地系から世界測地系への変換には、国土地理院長の承認を得て、同院の「測地成果2000のための座標変換ソフトウェアTKY2JGD」を利用しております。
RapLab v8.0の新機能
- 各種機能の向上
- 地球曲率半径考慮
- 大地回折波
- ゼンリン地図 Zmap-AreaⅡ対応
各種機能の向上
- 送信周波数、送信電力、移動速度の幅を広げました。
- 送信電力は0.1GHzから400GHzまで、送信電力は0.001mW~20kWまで、移動速度は99999.99km/hまで入力可能になりました。
- 角度の小数点以下桁数の拡張
- 指向方向やアンテナ軸(チルト)などの角度が0.001度単位で入力可能になりました。
- アンテナ軸、チルト角のマイナス角度への拡張
- 指向方向やアンテナ軸(チルト)などの角度が-180度~180度まで入力可能になりました。
地球曲率半径考慮
送受信点が遠方にある場合には、地球の曲率による影響が大きくなります。計算条件にて地球曲率半径係数が0:なし、4/3:通常の地球曲率半径係数、1:1の場合から選択し、計算可能にしました。
(R=地球半径)
ゼンリン地図 Zmap-AreaⅡ対応
RapLab v7.2の新機能
- 各種機能の向上
- 電波吸収体の複素透磁率入力対応
- 材質毎の表面の粗さ対応
各種機能の向上
- VRMLビューワの改造
- X-Y表示、Y-Z表示、X-Z表示、斜め45度表示の切り替えが追加されました。
電波吸収体の複素透磁率入力対応
電波吸収体(一/三/多層型吸収体と誘電体)の場合、比透磁率は実部のみからの計算でしたが、以下の画面のように、透磁率の実部と虚部による計算が可能になりました。
材質毎の表面の粗さ対応
材質ごとに表面の粗さが設定できるようになりました。
RapLab v7.1の新機能
- 各種機能の向上
- 表面の粗さ考慮
- MIMO計算機能の強化
各種機能の向上
- アンテナアクセス高速化
- 指向性アンテナで計算した場合の計算時間が高速化されました。
- 保存機能高速化
- 保存種類を3種類(①ポイント、②ポイント+パス、③ポイント+パス+パス詳細)用意しました。用途に応じてデータをスリム化することができます。 また、保存ファイルの単位をTx-Rx毎のファイルを、Tx単位にまとめました。
- 入力座標の小数点以下桁数の拡張
- 送受信点の位置が0.01mm単位で入力可能になりました。但し、座標入力ダイアログでは1mm単位の入力となります。
表面の粗さ考慮
反射係数の計算で、壁面の粗さを考慮した反射係数の算出を可能としました。
回折係数に含まれる反射係数の計算は、粗さを考慮しておりません。
where
R0 : 平面の反射係数
△h: 表面の粗さの正規分布の標準偏差 [m]
θi : 入射角[rad]
λ:波長[m]
※ △hが大きくなるほどに表面の粗さの損失の影響が大きくなります。
MIMO計算機能の強化
送信及び受信アンテナがMIMOの場合、伝搬経路の計算をアンテナ素子毎に行わず、送信及び受信アンテナの重心位置同士での伝搬経路を計算することで、計算時間の短縮をはかりました。たとえば4×4MIMOの場合に、16回(4×4)の伝搬経路の計算が必要でしたが、この簡易手法を使うことで、1回の伝搬経路の計算だけですむため、計算時間が1/16となります。
また、計算結果として、固有値、チャネル容量をCSV出力します。
各素子の伝搬損失の計算は、以下3つの手法から選択可能になりました。
・ パス長近似
・ 平面波近似
・ VRA手法(Vector-Rotation Approximation)
以下説明では、送信側、受信側の重心点位置のことをGTx、GRx とします。
- MIMO素子入力方法
-
MIMO素子の入力方法は以下3種類があります。
- (1) 連続配置-リニア配置
配置方法をリニアにし、素子数を設定数に入力することで設定可能です。 - (2) エリア入力
Multiple機能により入力可能です。 - (3) ポイントデータエクスポート/インポート
リニア配置などで、設定した諸元を、メニューの「ファイル-ポイントデータエクスポート」でCSV出力し、ポイントの 増減や、素子位置を変更するなどの編集後、メニューの「ファイル-ポイントデータインポート」でRapLabに設定します。
- (1) 連続配置-リニア配置
- 固有値・チャネル容量ファイル出力
- 固有値・チャネル容量をCSV出力することが可能になりました。 計算プログラムはMATLABで作成したDLLのため、MATLAB Compilerがあれば、カスタマイズすることが可能です。
-
(1) パス長近似
・ パス長:各送信(Tx1~Tx3)位置から、GTx-GRxで計算された伝搬経路の履歴点を経由し、 各受信(Rx1~Rx3)位置までの距離。
・ 電界強度:GTx-GRx伝搬パス長と上記で求めたパス長差の位相と距離損失分を加味する。
(2) 平面波近似
・ パス長:GTxから各送信(Tx1~Tx3)位置をつないだベクトルのパス出射方向への射影と GRxから各受信(Rx1~Rx3)位置をつないだベクトルのパス入射方向への射影を足したものをGTx-GRx伝搬パス長から引いた値。 GT(R)xからT(R)x位置をつないだベクトルがパス出射(入射)方向と直行する場合は射影が0となり、GTx-GRx伝搬パス長と同じ値となる。)
・ 電界強度:GTx-GRx伝搬パス長と上記で求めたパス長差の位相差分を加味する。パス長差の自由空間損失分は考慮しない。
(3) VRA手法
・ パス長:各送信(Tx1~Tx3)位置から、GTx-GRxで計算された伝搬経路の履歴点を経由し、 この履歴点により各受信(Rx1~Rx3)を回転させた各受信位置(Rx1~Rx3)までの距離。
・ 電界強度:GTx-GRx伝搬パス長と上記で求めたパス長差の位相と距離損失分を加味する。
- VRA参考文献
-
[1] 山田 渉,北 直樹,杉山 隆利," 屋外MIMO伝搬特性推定におけるレイトレース法簡易計算手法" 信学技法,A・P,アンテナ・伝搬
108(201),7-12,2008-09-04
[2] 特願2009-035288 伝搬特性推定方法、及び伝搬特性推定装置
RapLab v7.0の新機能
- Windows7対応
- 小さな散乱体への物理光学法(PO)の適用法
- 電波吸収体対応(多層材質対応)
小さな散乱体への物理光学法(PO)の適用法
市街地の街道沿いなどの電波伝搬の解析精度が向上しました。
基地局カバーエリア確認、車車間通信、路車間通信の為に行われる電測結果にシミュレーション結果が近づきました。
レイトレース法による電波伝搬シミュレーションでは、街道沿いのように、送信点と受信点の間に多くの建物がある場合には、電波の反射・回折波が実際の電波状況と異なって計算され、実測値との差が大きくなる傾向にあります。RapLab
v7では、小さな建物(小さな散乱体)に着目し、アルゴリズムを見直しました。幾何光学法(GO)による近似を扱えない領域(小さな散乱体)に対して、物理光学近似(PO)による効果をRCS(散乱係数)により適用し、第一フレネルゾーン内の小さな散乱体を探索することで、POとGOのハイブリット計算を可能にしました。
電波吸収体対応(多層材質対応)
異なる特性の材料を、3層以上重ね合わせて解析を行う事が可能になりました。
電波吸収体は電波干渉問題等に対し電磁波の吸収・遮蔽のために用いられ、誘電体は電気の絶縁体として利用されています。RapLab
v7では、3層の制限を解除し、背面が金属に裏打ちされた「多層型吸収体」や背面が真空になっている「多層型誘電体」の解析が可能となりました。
なお、本機能の開発には青山学院大学橋本修教授にご協力いただきました。