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導入事例・インタビュー

共同研究および電波伝搬解析ソフトウェアRapLab活用事例

●プロフィール
東京工業大学 大学院理工学研究科
国際開発工学専攻 教授 高田 潤一氏

東京工業大学について


設立 1881年5月
所在地  東京都目黒区(大岡山キャンパス)
東京工業大学ホームページ http://www.titech.ac.jp/
高田研究室ホームページ http://www.ap.ide.titech.ac.jp/index-j.html

東京工業大学 国際開発工学専攻の概要と、高田研究室の研究テーマについてご紹介ください。

東京工業大学は明治政府が優れたエンジニアの育成を目的に、日本で最初の工業教育機関として1881年に東京職工学校として設立しました。その後、1949年の新制大学への移行を経て、2004年に国立大学法人となりました。
私の研究室が属する国際開発工学専攻は、既存の工学系分野における専門性に加え、国際開発に関する幅広い知識を融合することで、一国、一地域では容易に対応できない地球規模の問題を解決したいという志のもと、工学系のほか経済、政治、環境、社会科学分野までも包含した総合工学のカリキュラムを用意しています。
高田研究室では、国際開発工学専攻の一員として、電磁波工学、通信工学、計測工学の立場から、電波伝搬、電磁界理論および計測、無線通信路モデル、無線信号処理、情報通信技術の国際開発への応用などの分野で研究を行っています。また、モンゴルやラオス、カンボジアなどの新興国の現地政府機関と連携し、技術を通した海外協力活動も行っています。

最近注力している研究内容についてもう少しご説明ください。

近年は、移動体通信や無線LANなどの普及によって無線ブロードバンド通信にさらなる大容量化が求められ、周波数帯の逼迫による問題が顕在化しています。より多くの需要に対応できるようにするために、高い周波数の有効利用を実現するマルチユーザ/マルチサイト、MIMO(Multi Input Multi Output)の開発と、未利用の周波数帯域の活用や新しい周波数資源として注目されているマイクロ波の開拓などに取り組んでいます。

状況に即した精度の高い伝搬予測ができ、非常にリーズナブルに導入することができた

その中で電波伝搬の解析ツールを活用された理由についてお聞かせください。

電波伝搬とは、デバイスや回路などとは異なり人為的に制御することのできない自然現象です。現在、無線通信システムの主流は、衛星通信やマイクロ波固定回線のように見通しの良い環境での伝搬路を前提としたシステムから、携帯電話や無線LANのような見通し悪い環境で同程度の強さの電波が複数経路を経て到達する多重波伝送路を前提としたシステムに移行しており、電波伝搬のメカニズムもより複雑になっています。
この制御不能な電波伝搬の仕組みを解明し、無線を使うシナリオで電波がどのような伝搬路を経由するのかを明らかにすることが、より良い無線通信機器を設計する上で非常に重要なことなのです。

私は電波伝搬の研究のため1994年に東工大の助教授として赴任しました。電波伝搬の研究を進めるには、本来なら実環境で電波を送受信する大掛かりな実験装置が必要なのですが、当時信任の助教授が後ろ盾もなく電波伝搬の研究を行うには予算がありませんでしたので、まずは机上で実験が可能なシミュレーションから着手しようと考えたのです。

そこで、研究室にあった回路測定装置を用いてレイトレース法によるシミュレータを開発しました。しかし、シミュレータで実験をしながら評価してみると、満足にモデル化ができない。なぜ上手くいかないのか、どうしたら状況に即した精度の高い伝搬予測が可能になるのかを長い間悩んでいました。
そんな折、構造計画研究所の方から3Dレイトレース法を使用した電波伝搬の解析ツールを紹介いただきました。それが「RapLab」だったわけです。
2004年当時、他にも電波伝搬のシミュレータは販売されていたのですが、その多くが内部をブラックボックス化していたのに対し、RapLabは何をどう処理しているのかきちんと公開している点を高く評価しました。研究者としてはロジックや計算方法がオープンになっていないとつかいづらいものですが、RapLabは結果の途中経過も可視化されるので原因の特定も容易です。

また、他のシミュレータは携帯電話の基地局や無線LANのアクセスポイントなどを設置する事業者を対象としたものが多く、精度よりも作業スピードを優先しています。一方、RapLabは研究者向けに特化して開発されており、設計効率よりも計算精度を重視しています。しかも価格が非常にリーズナブル。これなら研究で使い続けられると直感しました。

協力関係を続けていくことで、様々なアイデアを形にする事が可能に。

RapLabの実際の活用方法とその有効性、構造計画研究所との協力関係などについて教えてください。

RapLabの計算手法は基本的な電磁波理論に従っており、イメージング法の基本要素となる反射、回折、透過による伝搬損失を計算し、電波伝搬の経路を簡単に可視化できます。また、入力された建物や地形モデルに対して忠実にレイトレース計算を行うため受信点への到達波を正確に把握することが可能で、研究の補助的なツールとして非常に使い勝手が良いです。
具体的には、電波の分布が合っているかどうかを見る時や到来角測定を行った結果などを検証する際に、幾何光学の波がどこからきているのかをリファレンスとしてデータ化するためにシミュレーションを実行します。RapLabで問題解決するというよりは問題点を明らかにしていくことが目的でしたので、最終的なアウトカムを出すためのインプットとしてRapLabでの計算結果を比較図などにリファレンスとして用いています。
今後は、RapLabを11GHzのマイクロ波での測定リファレンスにも活用しようと考えています。
一方、構造計画研究所の側でも電波伝搬に関する技術を更に深めようとしているようでしたので、レイトレース法が電波伝搬の研究に適切なのかを知る意味もあって、構造計画研究所の有能な技術者を社会人ドクターとして3年間、研究室に迎え入れました。社会人をスカウトしたのはそれが初めてのケースでしたが、優秀な人材だったので研究室への貢献度も大きく、論文も共同で発表するなど多くの成果がありました。
構造計画研究所はアイデアを形にしてくれる技術力を持っている企業で、スタッフの貢献度は無限大です。

研究を続けていくからこそ、RapLabは必要不可欠

最後に、RapLabおよび構造計画研究所に期待することとはなんでしょうか。

現在のレイトレース法は、基本的に平面を仮定して電波伝搬を解析していますが、環境を細かく分割しても計測結果と合わないことがあります。今後RapLabが曲面に対応し、それがある程度正確に計算できるようになると、レイトレースでは不可能だった散乱現象をPO(Physical Optics:物理工学近似)によるシミュレーションが可能になるため、世の中のさまざまな用途に応用できそうです。ぜひチャレンジしてみてください。

また構造計画研究所に関しては、ITU-R(国際電気通信連合 無線通信部門)のSG3(電波伝搬委員会)における日本代表の事務サポートを担うなど、日本の電波伝搬研究を下支えする存在として長年貢献していることは高く評価しています。

日本はこれまで電波伝搬の研究で世界の先頭を切っていましたが、研究には大規模な実験装置が必要な上に無線免許の取得が必要で敷居が高い反面、特許取得や収益につながりにくく、最近は国内の研究者も減少傾向にあります。しかし、高田研究室では直接お金になりにくいからこそ大学で研究を続ける意義があるという信念で研究を行っています。

そのため今後も構造計画研究所と協力し合い、電波伝搬の研究を日本から世界へと盛り立ていきたいと考えています。

導入された製品

主に無線研究者の研究をサポートすることを目的とし、より正確な電波伝搬のシミュレーションを実現します。多数の実績でアンテナ・伝搬研究を強力にサポートします。

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